障害者スキー・アルペンの概要

1)はじめに
 1998年3月、我が国で初めて開催された長野パラリンピック大会アルペンスキー競技において、日本選手団は金2、銀2、銅1のメダルを獲得しました。この長野パラリンピック以前は、日本身体障害者スキー協会、日本チェアスキー協会、等各協会毎に選手強化事業が行われ、大会派遣毎に選手を選考し選手団を構成していましたが、長野パラリンピック招致が決定してからは厚生省のバックアップを受けた(財)日本障害者スポーツ協会が主導する形でナショナルチーム体制が組まれ、選手強化が行われました。
 長野パラリンピック終了に伴い、ナショナルチームは解散しましたが、今後の国際大会でさらに好成績を挙げることを目的に、両協会の強化部門が協力する体制として、1998年10月に合同アルペン委員会を発足させました。合同アルペン委員会では、ジャパンパラリンピックスキー競技大会、全国身体障害者スキー大会、チェアスキー競技会の競技成績に基づき、強化指定選手を選考してナショナルチームを結成し、選手強化、大会派遣選手選考等を行っています。運営は障害者スポーツ支援基金で一部がまかなわれています。

2)歴史と現状
 日本身体障害者スキー協会は、笹川雄一郎氏がカナダから持ち帰った「アウトリガー」を使用するスキーヤーが1972年に北志賀竜王スキー場に集まり、第1回全国身体障害者スキー大会を開催したことに始まる。この大会時に集まったメンバーが中心となり「アンプティースキークラブ」を結成。1973年、名称を「日本身体障害者スキー協会」に改める。現在は、24都道府県に支部を置き、会員数は670人。主な活動内容は、大会開催、講習会開催、選手強化育成、指導者の育成など。
 日本チェアスキー協会は、1975年から「チェアスキー」の開発に携わったメンバーを中心に、チェアスキーの普及、発展のために1980年に発足。同時にチェアスキーツアーを開催(1984年より、日本チェアスキー大会)。1993年からチェアスキー競技会を開催している。現在は、公認クラブ(協会)数9クラブ、会員数277人。主な活動は、大会開催、講習会開催、選手強化育成、指導者の育成、派遣、用具のレンタルなど。

3)クラス分け
 競技はFISの女子ルールに則ってDH、SG、GS、SLの4種目が行われるが、障害による差を考慮し、障害の程度によってクラス分けが行われる。障害によって「アウトリガー」(ストックの先に小さなスキーがついた用具)や、「チェアスキー」(1本のスキーの上にいすをセットしたもの)を用いて競技を行う。
 視覚障害のB1クラスの選手は、黒のゴーグル装着とガイド(伴走者)が義務づけられている。ガイドは声(拡声器や無線の使用は可)による誘導のみが許され、選手との身体的な接触は認められていない。B2、B3クラスはガイドがついた方が望ましい。
 同一クラスの競技者が少ない場合は、他のクラスと統合(コンバインド)し、クラス毎の係数を実タイムに掛け合わせてリザルトを算出するハンディキャップシステムが用いられる。世界選手権、ワールドカップは、視覚、立位、シットの三クラス制で行われる。

B1 視力0〜光覚(手の形が見分けられない視力)
B2 光覚〜矯正視力0.03または視野5度以内
B3 矯正視力0.03〜0.1、または視野5度〜10度
LW1 両下肢の障害、両下肢の切断で両義足使用(2本スキー)
LW2 片下肢の障害、片下肢の切断(1本スキー)
LW3/1 LW1より軽度の両下肢の障害(2本スキー)
LW3/2 LW1より軽度の両下肢の切断で両義足使用(2本スキー)
LW4 LW2より軽度の片下肢の障害、片下肢の切断で義足使用(2本スキー)
LW5/7 両上肢の障害、両上肢の切断(2本スキー、ストック無し)
LW6/8 片上肢の障害、片上肢の切断(2本スキー、1本ストック)
LW9/1 片上肢と片下肢の切断
LW9/2 片上肢と片下肢の障害
LW10 座位バランスがないか、両上肢に障害のある下肢の障害(チェアスキー)
LW11 座位バランスがLW10より良い下肢の障害(チェアスキー)
LW12/1 座位バランスがLW11より良い下肢のマヒ(チェアスキー)
LW12/2 座位バランスがLW11より良い下肢の切断(チェアスキー)

4)国内外のアルペンスキー競技大会概要

<国内大会>(日本身体障害者スキー協会、日本チェアスキー協会関係のみ)

ジャパンパラリンピックスキー競技大会
 日本障害者スポーツ協会、日本身体障害者スキー協会、日本チェアスキー協会、日本障害者クロスカントリー協会の主催する国内最高のスキー競技会。長野パラリンピック招致を期に、1994年より開催。アルペン競技種目は、SG、GS、SLの三種目。ナショナルチームを構成する強化指定選手の選考基準競技会であり、参加するためには、主催団体の推薦が必要となる。

全国身体障害者スキー大会(略称:全国大会)
 日本身体障害者スキー協会、日本障害者スポーツ協会の主催するスキー競技会で、スキー講習会を同時に実施。1972年より開催。アルペン競技種目は、GS、SLの二種目。強化指定選手の選考基準の一つとして位置づけている。

チェアスキー競技会
 日本チェアスキー協会の主催するチェアスキー使用者のアルペンスキー競技会。1993年より開催。競技種目は、GS、SLの二種目。強化指定選手の選考基準の一つとして位置づけている。

テレビ朝日杯ハンディキャップスキー親善大会
 日本身体障害者スキー協会の主催するアルペンスキー競技会。1978年より開催。初心者にも楽しめるよう「申告タイムレース」で実施。
・各地域大会
 福島障害者スキー競技会、身体障害者スキー協会関東大会、など


<国際大会>

パラリンピック
 4年に1回、IPC(国際パラリンピック委員会)と開催地の組織委員会が主催して行われる障害者スポーツの最高の大会。アルペン種目はDH、SG、GS、SLの四種目。基本的にクラス毎に表彰を行うが、参加人数の少ないクラスは統合される。

世界選手権大会
 4年に1回、パラリンピックの間の年にIPCの主催で行われる障害者スキー最高の大会。FIS公認競技会。アルペン種目は、DH、SG、GS、SLの四種目。ハンディキャップシステムで、視覚(B1〜3)、立位(LW1〜9/2)、シット(LW10〜12/2)の三クラスでの表彰を行う。

障害者スキーワールドカップ
 ワールドカップ委員会の主催で、年間3〜4回ヨーロッパ、アメリカを中心に開催される世界のトップレベルの選手のみが参加するFIS公認競技会。アルペン種目は、DH、SG、GS、SLの四種目だが、開催地により変更がある。ハンディキャップシステムで、視覚、立位、シットの三クラスでの表彰を行う。年間トータルのポイント数で、三クラス毎の年間チャンピオンを決定する。

障害者スキーヨーロッパカップ
 ヨーロッパカップ委員会の主催で、年間3〜4回ヨーロッパ各国を転戦して行われるFIS公認スキー競技会。アルペン種目は、DH、SG、GS、SLの四種目だが、開催地により変更がある。ハンディキャップシステムで、視覚、立位、シットの三クラスでの表彰を行う。年間トータルのポイント数で、三クラス毎の年間チャンピオンを決定する。

各国国内選手権大会
 アメリカ、カナダ、ニュージーランド、他。
カナダとニュージーランドは、選手強化の一環で過去の参加実績がある。



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